年末シーズンに入る少し前の時期に、電車とバスを乗り継いで、郡上八幡の地へと降り立った。
都心からだと、あまり交通の便が良くなく、移動だけで半日仕事だ。
何をするわけではない移動は、妙な疲れが溜まる。
宿にチェックインして、少し休憩をとっても、その疲れは取れない。
こんな時は、町に出てしまおう、と外へ出た。
歩いていると元気になることはよくあるけれど、
歩けば歩くほど、この町には癒された。
それは水のお蔭なのではないかと思う。
町の中心部を歩いていると、川の音、街中を流れる用水の音、
水舟(水飲み場となっている水槽)から流れる水の音など、いたる所から水の音が聞こえてくるのだ。
路地に入って音がしなくなった・・・、と思ったら、また別の方向から水の音が聞こえてくる。
音がする方に吸い寄せられるようにして、私は歩いていた。
ある時は、趣のある水の小径へと誘われたり、
またある時は、通りの両脇や、住居のすぐ前を流れる水路に呼ばれた。
そんなことを繰り返していたら、すっかり移動の疲れが取れ、
それに加えて、優しく柔らかな気持ちになっていた。
数時間歩いただけで、こんな気持ちになる町があるんだ、と驚いた。
この町の不思議な力に魅せられてしまった私は、そのまま滞在予定を延長することにしてしまった。
まだ到着したばかりだというのに。
屋久島も水が豊かな島だったけれど、郡上八幡も同じく水と共に在る町だった。
私は水に惹かれ、深く癒されてしまうのだと気づいた。
調べてみたら、郡上八幡は「吉田川の川遊び」が日本の音風景100選に選ばれていた。
参考ページ:残したい日本の音風景100選
*郡上八幡のある郡上市の場所は、下記地図より確認できます。