諸行無常を感じながら生きていく:映画「天気の子」を見て

天気の子 パンフレット

久しぶりに、映画館でゆっくりと映画を見れた。

選んだ映画は、先日から気になっていた「天気の子」。

話題の映画のようだったし、SNSでもよく情報が流れてくる。

調べてみたら、「君の名は」の新海誠監督の3年ぶりの新作だという。

「君の名は」はとても印象に残る映画で、アニメであることをすっかり忘れて物語にのめり込み、

初めて聞いたRADWIMPSのサウンドトラックも作品とぴったり合っていて魅了された作品だった。

今回も、同じRADWIMPSが音楽を担当しているとなると、ますます気になっていた。

ストーリーはほとんど知らなかったが、台風19号の爪痕がまだ残る今という時に、この作品を観ておきたい!と直感した。

時折涙し、時折笑いながら鑑賞し、約2時間の上映を終えてみると、どこか爽やかな気持ちになる映画だった。

作品の舞台は新宿、そして異常気象が続く、というものだ。

昨今の日本の状態と非常にリンクし、フィクションとは捉えられない感覚になる設定だった。

眠らない街・新宿の雑居ビルやネオンも、子どもが遊ぶ芝公園も、主人公が降り立つ田端駅も、

東京の様々な景色が詳細に再現され、場面が変わる毎にリアリティが増していった。

どんな非現実なことも実現させられるアニメの世界で、

どこまでもリアリティが追求されているからこそ、伝わってくるものがあったのだと感じる。

そして、そういうものは、まずは身体と感覚を通してやってくる。

言葉になるには時間がかかる。

少し時間を置いて、何気なく思い返していた時に、ふと問いが生まれた。

この作品が訴えかけるものは何なのだろう、と。

見終えて少し時が経った今、感じることは、「異常気象」という言葉の異常さである。

見渡してみれば、前代未聞と言われる出来事は日々起こっているし、「正常」という言葉に収まらないモノ、人、事は沢山ある。

けれど、異常とはそもそも何なのだろう。

そして、正常とは何なのだろう。

正常とは、連綿と受け継がれてきた習慣や風習であり、知覚できる範囲の現象を元に紡ぎ出された法則の範囲内で起こる事なのではないか。

人間の小さな脳みその中で定義されたものだ。

けれど、かつてないほどの人口増加が起こり、絶滅していく動植物たちがいる。

この地球上に増えた、これまでになかった物質やエネルギーも沢山あるだろう。

それは人間の影響もあるだろうし、そうでないものもあるのだろうと思う。

人間の誕生より更に昔、この地球で生きていた恐竜たちの絶滅。

生き物にとっては過酷な寒冷な気候が続いた時代があったこと。

そう考えると、私たち、そしてこの地球は、片時も同じであったことはなく、絶え間なく変化し、蠢(うごめ)いている。

映画の中で終盤、「世界なんて、最初から狂っていた」というセリフが出てくる。

そうかもしれない。

けれど、私の感覚では、そこには正常も異常もなく、ただ変化があるのみ、という方が近い。

そうであるならば、全てを受け入れながら私たちは生きていく他ないのだ、本当は。

もちろん、私たち人間が与えてきた地球への悪影響を、少しでもなくす努力もしながら。

以前、参加したヴィパッサナー瞑想の合宿で、何度も耳にした言葉「アニッチャー」を思い出した。

無常、全ては変化する、という意味の、この世の真理を説いた言葉「アニッチャー」。

この言葉を内側で唱えながら生きていこう、改めてそう思った。

この記事を書いた人

渡辺 絵梨(わたなべ えり)

渡辺 絵梨(わたなべ えり)

カウンセラー/セラピスト/講師/ファシリテーター
カウンセリング・セラピー・コーチングなどを融合させ、人がいのちの喜びを生きることをサポートしています。
10代の頃から心に興味を持ち学ぶ。「自分のやりたいことが分からない」、「感情が分からない」、「人とのコミュニケーションがうまくできない」、自身も苦しんだこれらの悩みに光をもたらしてくれたのは、心の学びを通じて、自分の心を見つめることでした。
悩み苦しみは、転じていのちの喜びへと通じているのだと思います。そのプロセスの伴走をさせていただいています。
好きなことは、旅、読書、音楽を聞くこと、散歩。また、自然をこよなく愛する。