身体は感情を記憶する

以前、突然起こった出来事で、怖い体験をした。

その時は、怖かったことも分かっていなかった。

何が起こっているのか分からず、

ただ、身体が固まり、動けない私がいたことだけを覚えている。

最近、その体験を、思い起こすきっかけとなることがあった。

鼓動が速くなり、心臓がドキドキしてくるのが分かった。

身体にも力が入り、緊張する。

手がうまく動かない。

あの頃の私とは違って、とても安心できる状況にいるのに、だ。

その事に直面していた真っ最中は、鼓動も普通の速さで、心臓のドキドキもなかった。

目の前のことに対処するために、感じることに蓋をして、麻痺させていたのだと気づいた。

その麻痺させていた本当の感情が、今、安全な状態で再体験することで、ようやく出てこられたのだと思った。

鼓動が速くなり心臓がドキドキしてきた時に、初めて気がついた。

あの時、私が感じていたのは恐怖だったのだ、と。

「怖い」より更に上をいく「恐怖」だった。

その状況を切り抜けるため、生きるため、生き残るために、感じてはいられない気持ち、あるいは感じてはいけない気持ちだった。

身体は感情を閉じ込め、記憶していた。

安心、安全な環境になって初めて、本当の感情は出てこられる。

あぁ、あの時の私はこんなにも恐怖を感じていたんだ、ということが今頃になって分かった。

どれほど、その時は麻痺させていたのだろう、と思う。

どれほど怖かったのだろう、必死だったのだろう。

そして、まともで健全で建設的な考えも浮かばず、頭はどれほど、ただその事態へと対処する考えのみに支配されていたのだろう。

その自分をただただ抱きしめようと思う。

怖かったね。

何が起こっているのか分からなかったよね。

恐怖で震えていた自分を抱えながら、

必死に、その時の最善を尽くして、生き抜いたよね。

よくがんばったね。

本当によくがんばったね。

もう、大丈夫だからね。

もう安心していいからね。

もうそんな状況には置かないからね。

この記事を書いた人

渡辺 絵梨(わたなべ えり)

渡辺 絵梨(わたなべ えり)

カウンセラー/セラピスト/講師/ファシリテーター
カウンセリング・セラピー・コーチングなどを融合させ、人がいのちの喜びを生きることをサポートしています。
10代の頃から心に興味を持ち学ぶ。「自分のやりたいことが分からない」、「感情が分からない」、「人とのコミュニケーションがうまくできない」、自身も苦しんだこれらの悩みに光をもたらしてくれたのは、心の学びを通じて、自分の心を見つめることでした。
悩み苦しみは、転じていのちの喜びへと通じているのだと思います。そのプロセスの伴走をさせていただいています。
好きなことは、旅、読書、音楽を聞くこと、散歩。また、自然をこよなく愛する。