アイデンティティが殺害されようとしている:映画『津島』『戦雲』『ビヨンド・ユートピア脱北』を観て

3本の映画『津島』、『ビヨンド・ユートピア脱北』、『戦雲』

最近、立て続けに、
何本か映画を観た。

『津島』
『ビヨンド・ユートピア脱北』
『戦雲』

振り返ってみると、
そのうちの3つの映画に
共通する点があった。

『津島』は、
東日本大震災の発生により
起きた原発事故で
ふるさとに住めなくなった、

福島県浪江町津島地区の住民への
インタビューをまとめた映画。

彼らは、原告団をつくり、
ふるさと「津島」をキレイにして
返してほしいと国と東電を訴えている。

『ビヨンド・ユートピア脱北』は、
親戚が脱北したことにより
ひどい扱いを受けている一家の
脱北を追ったドキュメンタリー。

同時並行で、
元北朝鮮軍人で、現在は
脱北女性の支援をする女性活動家が、
ブローカーを通じて
息子の脱北を支援する一部始終も追っている。

『戦雲(いくさふむ)』は、
日本の南西諸島(石垣、与那国、宮古、沖縄本島)の、
急速な軍事要塞化の現状と、
島々の暮らしや祭りを描いたドキュメンタリー。
2015年から8年間に渡り、
島の変化を追った様子がまとめられている。

どの映画も、
国や、国際政治、資本主義のありようと
ふるさとやその土地を愛し住まう住民の思いの
交わらない交差点が描かれ、
本当に大切なものは何なのかを訴えかけてくる。

『津島』を観ながら感じたこと

真綿で首を絞めるように
ゆるやかに何かが殺されようとしている。

『津島』を観ながら、私はそう感じていた。

津島地区1700人の住民のために
土地の除染に必要な
莫大な費用をかけるか否か。

大震災の規模と今回の事故は
誰も予測できなかった事態という理由で、
住民の主張が斥けられていた。

原告団の人々の
悔しさと、憤りと、無念とが伝わってくる。

『戦雲』にも感じた共通点

『戦雲』を観ていても、
同じような感覚になった。

自分たちの集落のすぐそばで
自衛隊の銃の音がこだまし、
国の重要自然遺産に指定された
美しい湾に、軍港の計画が進む。

安心して暮らせない、
戦車やミサイルが
持ち込まれることは約束と違う、と
訴える住民の声が掻き消される。

古くから伝承される歌を歌う
おばあの声からは、
嘆きと祈りが伝わってくる。

アイデンティティの殺害

何が殺されようとしているのだろうか。

その問いを持ちながら
3時間以上にわたる映画『津島』を観ていたら、
終盤近くで、ふと言葉が降りてきた。

アイデンティティが
殺害されようとしている。

見えない圧力が、
住民を諦めという精神的な死に
至らしめようとしている。

けれど、本当は、
圧力をかける側も
圧力をかけられる側も

その両方が
自分自身の中にもあるのだと思った。

大切にしたい自分を、
大切な自分のアイデンティティを、
自分自身が殺そうとしている。

同時に、抗いたい自分もいる。

『津島』土井敏邦監督の舞台挨拶

幸運にも、『津島』の
土井敏邦監督の舞台挨拶を
聞くことができた。

経済合理性だけを重視して、
少数の人々を切り捨てるのか。

最大多数の最大幸福のために
少数の人々の尊厳を奪うのか。

津島に起きている現実は、
私たち一人一人の中に起きている
現実であり、考えではないのか。

その力強いメッセージが、
私の中の、抗う私に
真っ直ぐに響いてくる。

『ビヨンドユートピア脱北』を観ていて感じたこと

『ビヨンドユートピア脱北』では、
危険を冒して撮影された
北朝鮮国内の様子や
脱北者の証言から、

北朝鮮という国が、
恐怖でコントロールし、
国民の自由と思考を奪っていることが
映し出される。

恐怖を植え付けるために
7歳で公開処刑を見させられた少女、

アメリカなどの国を残虐で危険とし、
現体制と指導者の素晴らしさを
刷り込む洗脳教育、
体制維持のための情報遮断。

愛する祖国に住まうことができず
危険を冒して脱出する家族が

危険で残虐だと教えられた
アメリカ人や韓国人に助けてもらう。

その過程を通して、
80代の北朝鮮人女性が、
長らく自分が教えられてきたことは
嘘だったのか、と
信じられないような表情で呟く。

囚われと刷り込みから
解放されていく人の表情を目の当たりにし、
私は、スクリーンに釘付けになった。

自分の中の、
抗う私と共に居ることができたなら
もっとこの瞬間に
出会うことができるのではないか。

真実を生きることの力強さ、
光と希望を感じる瞬間に思えた。

まずは知ることから

どの映画も、
驚きを隠せない事実を
教えてくれている。

まずは知ることから。

まずは知って感じることから。

そして、そこに映る、
自分を見つめることから始めたい。

参考ページ:

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この記事を書いた人

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わたなべ えり

カウンセラー/セラピスト/講師/ファシリテーター
カウンセリング・セラピー・コーチングなどを融合させ、人がいのちの喜びを生きることをサポートしています。
10代の頃から心に興味を持ち学ぶ。「自分のやりたいことが分からない」、「感情が分からない」、「人とのコミュニケーションがうまくできない」、自身も苦しんだこれらの悩みに光をもたらしてくれたのは、心の学びを通じて、自分の心を見つめることでした。
悩み苦しみは、転じていのちの喜びへと通じているのだと思います。そのプロセスの伴走をさせていただいています。
好きなことは、旅、読書、音楽を聞くこと、散歩。また、自然をこよなく愛する。