元祖くず餅 船橋屋8代目当主 渡辺雅司氏の講演を聞いて:個人にも組織にもカウンセリング・セラピーの必要性を感じる

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船橋屋8代目当主・渡辺雅司氏の講演会へ足を運んだ

先日、船橋屋8代目当主・渡辺雅司氏の講演会を聞く機会があった。

船橋屋は、創業1805年から続く老舗であり、和菓子で唯一の発酵食品「くず餅」をつくり売る店である。

くず餅は、450日かけて熟成発酵させ、消費期限はわずか2日間だと言う。

無添加、発酵食品、グルテン未含有、カロリー控えめ、と、特に女性には嬉しいこと尽くし。

何度も食べたことがあるが、さっぱりとしていて、体にも優しく、お腹もパンパンにはならない、とても美味しいスイーツだ。

8代目当主である渡辺氏は、

平成の経済人を迎えて日本経済を伝えるテレビ東京の番組「カンブリア宮殿」にも出演され、

ご著書「Being Management」を出版されたばかりである。

講演会までに、ご著書も拝読させていただき、カンブリア宮殿もチェックしたが、

渡辺氏は、今の時代に適応するために、様々な改革を行い、

老舗でありながらSNSを駆使して若い層にもリーチする努力をしたり、

くず餅乳酸菌を発見して新たな商品づくりを行うなど、大きな発展を指揮してきたことが分かった。

テレビ番組や著書とはまた別のお話も聞けることを期待して、当日は会場へ足を運んだ。

講演会で感じた「一人一人が幸せを感じること」の大切さ

講演会が始まった。

壇上に立つ渡辺氏の佇まいからは、

様々な試練を乗り越えてきた人が持つ静かな自信と力強さ、同時に謙虚さも感じた。

渡辺氏の良い意味でのやんちゃなお人柄も、聴衆を惹きつける。

そんな渡辺氏が語る、

創業から200年以上続く船橋屋を継ぎ、

時代の変化に合わせて大改革を進めてきたお話の数々は、

どれほど悩み苦しみ、苦渋の決断をしながら進んでこられたのかを深く感じさせるものだった。

その根底にある渡辺氏の思いであり、悩み苦しみながらたどり着いた境地が、著書のタイトルそのものだと思う。

「Being」を大事にすること。

そのために、まずは一人一人が幸せを感じること。

今勤めている会社で働くことで幸せを感じていれば、仕事や会社への貢献は、自ずと現れてくる。

そのことがヒシヒシと伝わってきた。

その一点を考え抜いて、どんな学びも、どんな行動もしてこられたのだろう、と感じた。

ダボス会議で発表された、マネージメントで必要な10項目

講演の冒頭で紹介された、ダボス会議で発表された事項が印象的だった。

ダボス会議って何?という方のために。下記の説明が分かりやすい。

ダボス会議とは、スイス・ジュネーブに本拠を置く非営利財団、世界経済フォーラムが毎年1月に、スイス東部の保養地ダボスで開催する年次総会です。世界経済フォーラムは1971年に発足し、各国の競争力を指数化し公表してグローバル化に対応した経営環境を推進しています。この会議では毎年、世界を代表する政治家や実業家が一堂に会し、世界経済や環境問題など幅広いテーマで討議しますが、各界から注目され、世界に強い影響力を持っています。日本からも首相や著名な経済学者などが参加しています。

出典:ダボス会議『SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集』より

下記が、2016年1月のダボス会議で発表された、

マネージメントで必要な10項目がどう変化するか、という資料である。

ダボス会議201601、top10スキル

その項目は、数年前と、これから必要になるものとで、変化が出てきていた。

一番大きな変化は、2020年までに必要とされる項目の中の6番目に

“Emotional Intelligence”という項目が新しく現れたことである。

自分の感情に気づくことであり、人の感情にも気づいていくこと。共感能力にも深く関わってくる。

大量生産、高度成長の時代にはそこまで必要ではなかったと思われるが、

物質的な豊かさが進み、更には技術革新が進み、

単調な作業能力や合理的で理性的な思考力よりも、創造力や想像力が求められる時代。

そこに必要なのは、理性の前に感性であると言える。

そこで渡辺氏は、ご自身も様々な学びを重ね、

また社内教育として、各種研修を入れながら、比較する気持ちよりも、共感する気持ちを大切にできる教育を行ったと言う。

感じたこと、気づいたこと

このお話を聞いていて、今の時代はどんな人にもカウンセリング、セラピーが役に立ち、

またこれからの時代に求められていることを強く感じた。

理性は、

正しく現実を見る力、感情に左右されず判断・実行する力、

過去に学び未来を見通す力、比較検討し考える力、など。

感性は、

感じて想像する力、いまここを大切にする力、

受け入れ育む力、許し癒す力、つながる力、など。

感性を活かし、磨くには、頭を使うことよりも、ハートで感じることが大切だ。

そして、カウンセリング・セラピーは、このハートで感じることを大切にする。

他人や現実やこの世界といった外側のことではなく、自分の内側で起こっていることを大切にする。

それこそが、その人にとっての真実だからだ。

これらは、個々人が幸せに生きるために必要なことであるけれど、

今の時代は、仕事をする上でも益々重要となってくるのだと思う。

参考ページ

カンブリア宮殿 2018年11月1日放送 創業1805年の老舗和菓子店 伝統と革新の・・・「幸せ」経営術

渡辺雅司著 「Being Management」

2016年1月にダボス会議で発表されたマネージメントで必要な10項目

ダボス会議とは『SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集』

追記(2020/11/27)

記事内のダボス会議資料は2016年のものだったので、

その後どのように変化しているか調べてみた。

2018年のものは下記の通りとなり、

2022年までに必要な10項目の中で”Emotional Intelligence”は順位を一つ下げているものの、10項目の中に入り続けている。

ダボス会議2018、top10スキル

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この記事を書いた人

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わたなべ えり

カウンセラー/セラピスト/講師/ファシリテーター
カウンセリング・セラピー・コーチングなどを融合させ、人がいのちの喜びを生きることをサポートしています。
10代の頃から心に興味を持ち学ぶ。「自分のやりたいことが分からない」、「感情が分からない」、「人とのコミュニケーションがうまくできない」、自身も苦しんだこれらの悩みに光をもたらしてくれたのは、心の学びを通じて、自分の心を見つめることでした。
悩み苦しみは、転じていのちの喜びへと通じているのだと思います。そのプロセスの伴走をさせていただいています。
好きなことは、旅、読書、音楽を聞くこと、散歩。また、自然をこよなく愛する。