心は見つめていくほどに、触れていくほどに敏感になっていく。
そこから湧き出る感情や感覚を辿っていくことは、水の中のコイン拾いのよう。
ゆらゆらと揺れる水面からは、コインの存在がよく分からない。
目を凝らして見てみても、その姿がくっきりとは見えない。
ざぶんと水の中に潜り、コインへ近づく。
コインに見えたものが、ゴツゴツしたものだったり、イガイガとげとげしたものだったりする。
時には怖く、恐ろしいものにも思える。
けれど、思い切って、えいって手を伸ばして、その手に掴む。
ゆっくりと浮上し、水の中から出てくる。
そして、ゆっくりと握った手を開いたとき、その手にしていたコインがいつの間にか裏返っていて、実はきらきらと光る大切なものであることに気づく。
心の中に沈んでいるものは、必要があって、沈めてきたもの。
イガイガ、とげとげ、苦しいもの、怖いもの・・・。
けれど、それと一緒に、その時感じた大切なことも同じ場所に置いてきてしまっている。
どっちかだけ、なんて器用なことは心はできないみたい。
コインの裏表のように、セットになってる。
拾ったものの裏側は、拾ったものしか、拾った人しか分からない。