私たちの思考、感情、行動や、世界をどう見てどう関わるか、こういったある種の思い込みとも言えるものは、沢山の経験や情報、記憶によって形作られている。
時を経るごとに、あるいは様々な経験をしていく中で、ふとその小さな思い込みに気づいて、ぱっと手放せる時もある。
自分の中に入ってくる情報が変わったり、新しい経験をすることで、世界の見え方が少しずつ変化していくからだ。
職場や色んな人間関係の中で、そんな経験をしている人も多いと思う。
毎日、太陽の昇る角度と沈む角度が少しずつ変わるように、自分自身が日々ほんの少しずつ変化していると感じる。
けれど、その中でなかなか変えられない思い込みや、行動パターンもある。
少し頑固で、強固なパターン。
何かに似ているとしたら、食べ物の好みのようなものかな、とも思う。
味の好みは、幼い時から食べてきたもので、長い時間をかけて形作られている。
心の中の、少し頑固なパターンもそんな感じだ。
幼少期の体験、あるいはもっとそれより前からの記憶が、心と身体に残っていて、他のことをしてみても、そこに戻ってくる。
体験から起きた感情や考えを、そのあと似たようなことが起きた時に繰り返し、あるいは、長い時間をかけて反芻することで、染み込んでいったもの。
これは、なかなかどうして一筋縄ではいかない。
だから、そんな古い記憶の中の、子どもの自分に会い、寄り添い、時に抱きしめる。
そんな体験を重ねていく中で、少しずつ変化していく。
そうした目に見えない、深いところでの変化が、少しずつ自分の現実世界を押し広げていく。
少しずつ、少しずつ。
土の状態が変わると、土の表面に出ている花や草木の状態が変わるように。
そんな体験を重ねています。