理屈なく惹かれる時がある
理屈なく惹かれる
一瞬で共鳴する
そういう時がある
一目見た時に、一行読んだ時に、身体に何かが走ることってあると思う
同じように、一音聞いた時に私の身体は知っていた
これは私にとっての本物であり真実であるということを
2019年5月末、安曇野を訪れた
2019年5月末、安曇野で開かれたコンサートに行っていた
豊かな自然の中で開かれた小規模なコンサート
大規模なコンサートはどうも心に響いてくるものを感じられない私には、とても嬉しい規模だった
今回は、歌い手の吉本有里さんと、ピアニスト杉丸太一さんのコラボコンサート
有里さんの歌声は以前も聴いたことがあり、歌詞とも合わせてやっぱり素晴らしいなと味わっていた
杉丸太一さんのピアノをお聞きするのは初めてだった
有里さんのリードで、杉丸さんのソロパートへと移る
ピアノで即興の曲を弾いてくださることになった
杉丸太一さんの演奏を初めて聴いた
杉丸さんが、椅子に座り、演奏を始める準備をする
私は目を閉じて、その最初の一音を待っていた
鍵盤に置かれた指が動き出し、最初の一音が鳴る
その瞬間、身体に衝撃が走った
そして流れるように続く音たちに乗って、
私は一瞬にして海の中にいるような、
時空を超えた世界にいるような感覚になった
その音色は、「美しい」という言葉では言い表しきれないものだった
深海へと潜るような感覚になった
『地球交響曲』というドキュメンタリー映画シリーズに、
ダイバーであるジャックマイヨール氏が出演しているものがある
ジャックマイヨール氏は、
酸素ボンベなしの素潜りで、深海へと深く深く潜る
映画の中で、その海へと潜るシーンが映し出されている
深く潜るその行為について、
なんの意味があるのかと問われたら、分からないし、
意味など無いのかもしれない
ただ、その映像を見ていると、
内なる世界の深いところへと一緒に潜っていくような感覚になる
時は止まり、考えも止み、ただ静かな地点へ向かって・・・
そこは意味を超えた世界だ
杉丸さんの演奏は、深く深く潜っていくというよりも、
もう少し手前で漂うような感覚だが、似たような感覚になった
いつまでもこの感覚が続いて欲しいと思った
即興だから、曲の終わりも分からない
どう展開していくかも分からない
まるで海の中で、波に漂いながら身を任せているような感覚
その世界へと連れて行ってくれる音たち
安曇野への移動で疲れていた私は、
半分寝ているような起きているような状態だったと思う
けれど、きっとしっかり起きていても、意識は同じ状態だったんじゃないかと思う
なぜなら、その音はダイレクトに感性に響いてくるものだったと思うから
時が止まり、考えも止み、ただ静かな地点を私は漂っていた
いつまでもこの音が、この曲が、続いて欲しいと思った
たった数分の曲が、数時間に思えた
こう文章にしてみると、まるで竜宮城に行っていたかのようだ
私たちは、感性の世界にいると、時空を軽々と超えてしまうのだろう
杉丸太一さんは、「世界の魂を解放するピアニスト」として活動をなさっている
帰り際にCD「愛のパワー オキシトシン」を一枚購入させていただいた
帰宅してから聞いてみたら、
CDに収められた音楽は、またその世界へ連れて行ってくれた
参考ページ:杉丸太一さんCD「愛のパワー オキシトシン」については下記。