最初にハッとした詩は、
ゲーテの詩だったかもしれない。
本棚をひっくり返して、詩集を探した。
多分、10代か20代の時に読んだ気がするけれど、
その時、私がハッとしたのはこの詩だった。
老い
「老い」は礼儀をわきまえた来訪者、
二度も三度もノックする、
だが誰も「おはいり」とは言わないので
扉(と)のそとに立ちん坊はご免というわけ、
自分で把手(とって)を廻してはいってくる、
その足取りがあんまり早いので
そこでこうなる、
「老いは礼儀知らずの無作法者」と。
当時は、そこまで、
老いを気にする年齢ではなかったはずなのに、
不思議だ。
「老い」とはつまり、
過ぎ去った「時間」のこと。
時間の大切さを感じて、
今は、より心に沁みる感じがする。