2018/3/23(金)、高円寺で開催された、ソマティックダイアローグ2018「竹内敏晴meetsソマティック」に参加した。
通称・竹内レッスン(からだとことばのレッスン)は、竹内敏晴氏の著書『「からだ」と「ことば」のレッスン』を読んで、その存在を知った。
けれど、本を読んでいてもあまりよく分からず、いつか体験してみたいと思っていたものだった。
その著書にはレッスンの様子が書かれているものの、流れなどは分かっても、
レッスンの中で実際どんな体験が一人一人の中に起こるのか、ということが見えにくい。
そして、自分がその場にいたら、どんなことが自分の中に起こるのかも予想がつかなかった。
本を読み始めたものの、これは体験しないとよく頭に入ってこないと思い、途中で読むのをやめていたくらいだ。
今回は、その竹内レッスンを体験できる機会があると知り、参加することにした。
印象に残った「話しかけのレッスン」
いくつかのワークを体験したが、その中でも特に印象に残っているのが、話しかけのレッスン。
本の中にも書かれているレッスンだが、4~5人が会場に散らばって、同じ方向を向いて座り、
彼らの後方に立った1人の人が、座っている4〜5人の中から1人を選んで、その選んだ人に向かって話しかける。
座っている人々は、自分が話しかけられたと思った人は手を挙げ、
自分は話しかけられていないと思ったら声が飛んでいったと感じた場所を指さす、というもの。
話しかけている側は話しかけているつもりでも、聞いている側はそうは感じなかったり、
人によって声が飛んでいったと感じる方向が違ったりする。
実際に、私も座って聞く側を体験させていただいた。
なかなか感じるのは大変だったが、恐らく声が飛んでいったと思われる方向を指してみると、
同じく一緒に座っていた人と感じた方向が違ったりして新鮮な体験だった。
中に入っているとそんな感じなのだが、周りで見ていると、どの人が話しかけられたかは、おおよそ予想がつく。
「話しかける」という何気ないことであっても、実は「声」だけでなく、目線や姿勢などを見て私たちは判断しているのだ。
声とは一体何なのか
では、声とは一体何なのか。
声が人に触れる、とはどういうことなのか。
レッスンをしてくださった先生が、話しかける側の人に、少し姿勢や動作や言葉を変えるように言ってみたり、
話しかけた際に使った言葉について、どんな気持ちでその言葉を選んだのか質問している様子も、とても興味深かった。
話しかける側の、誰に対して何を言いたいのか、という明確な意図や、
言いたいことをより直接的な言葉にしていく、という作業が、発する声に変化をもたらしていく。
もちろん、声だけでなくそれに加えて、話しかける人の姿勢や動作も変わってくる。
今回の状況では、話しかける側も話しかけられる側も、会場で初めて会った知らない人同士であり、この状況も発する声に影響を与える。
なぜなら、話しかける側に用事がない場合が多く、話しかける必然がないのだ。
故に、何のために話しかけるのか、ということを自問して言葉を見つけていく必要がある。
声の奥深さ
ただ「話しかける」こと、
されど「話しかける」ということ。
奥が深い。
以前、ボーカルトレーニングの先生に「声はとても生々しいもの」と言われたことがある。
自分の気持ちや感情が乗ったり、体調もそのまま声に乗る。
もっといえば人としての在り方も伝わってきたりする。
今回の竹内レッスンでも、そのことを垣間見た気がする。
話しかける側が考えていること、気持ち、意志、在り方などが、
聞く側にはダイレクトに伝わる。
もちろん、普段は意識していない何気ないことだ。
けれど、注意深く聞いていくならば、さまざまなことが感じ取れる。
奥深い「声」。
竹内レッスンを創った竹内敏晴氏が、自身のろうあ体験から自ら話し言葉を回復していったことが、大きく影響しているのだろう。
その過程、体験ももっと知りたいと思った。
今回、少しとはいえ、レッスンを体験したことで竹内敏晴氏の著書を読み進められそうだ。
読み進めながら、更に深めていきたいと思う。
参考ページは下記。
参加したソマティックダイアローグ
以下は、竹内敏晴氏の著書。